天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます

コミュニティ活動で得られた知識と希望~オンライン勉強会に半年で200回参加して感じたこと~

www.scrumosaka.org

こちらで発表をしてきました。スライドは以下の通りです。

ただ、スライド見ても良く分からないと思うので、この記事ではどんなことを話したのか、記事として残しておこうと思います。
20分で話したもので、割とこの記事が長くなってしまうので、感想とか、発表するまでの過程とかは、また別の記事にまとめます。

発表した内容

自分にとって、コミュニティの皆さんとの出会いは、自分自身が変化する大きなきっかけになりました。
自分は昨年10月頃に、コミュニティに初めて参加しました。週に一度だった参加頻度は徐々に増えて、この半年ではオンライン勉強会に200回参加していました。
また、社会人になってからは殆ど読んでこなかった本も、コミュニティの皆さんに紹介してもらったものを中心に読むようになっていました。技術書や経済学、心理学、生物学など、幅広い分野の本を大体半年で80冊位読みました。
コミュニティや読書で得たものの一部は、毎日ブログに書き続け、気が付くとブログの連続投稿日数は200日を超えていました。
仕事でも、1年前と比べてプロダクトが良くなっていることを、取れた案件数やプロダクトに対しての期待値、接点を取る顧客の増加、そして個人の感覚からも実感できていて、昨年と比べると、自分にとっては良い変化が起きています。
このような変化が起きたはなぜか?と考えると、まず、アジャイルの知識、スクラムの知識、テストの知識、といったように何らかの知識というものが挙げられます。
しかし、自分の変化に寄与した一番大きな要素は、知識ではなく、プロダクト開発に希望を抱けるようになったことだと自分は思っています。

コミュニティに参加する前の自分は、希望とは無縁な生活を送っていました。
社会人になるまでの自分は、プロダクト開発は勿論、コンピューターやSNSにすら馴染みの薄い生活を送ってきました。
勉強することが嫌いで、走っているかゲームをしているかの生活を送っていました。
そんな自分がIT業界に飛び込めば、当然非常に厳しい状況に立たされます。
毎日スクリプトテストをひたすら叩いて、遅延して、自分の力のなさを実感したり、クライアントや上司にいかに怒られないかを考える毎日を過ごす自分がいました。
何とかしてできない言い訳を探していました。
IT業界に向いていると勘違いした過去の自分を恨み、こうなることが分かっていたら絶対にプロダクト開発なんてやらなかったのに、と毎日後悔していました。
仕事でも、一度決めた計画や、過去に「できます」と言った自分に囚われ、遅延に遅延を重ねて最後に爆発する、という状態で、忙しい人に自分の仕事を巻き取ってもらい、ただただ申し訳なくて、苦しかったです。
過去の自分がした過去の選択に苦しんで、ただ必死に仕事をする日々でした。

そんな状況なので、何とかしたい!とは思うんですが、何をしても良くなる気がしない状況にも絶望していました。
開発を始まる前は、今度こそは、という意気込みの下で完璧に思えるスケジュールを引くのに、必ずうまくいかず、チームには社内からも社外からも大きなプレッシャーがかかり、疲弊したチームメンバーがどんどん退職していきました。
からだにもこころにも大きなダメージを受けて、なんとか納品しても、お客さんの反応はそっけなくて、良いプロダクトが届けられたのか良く分かりません。数値的にみた指標(利益率など)もじわじわと下がっていきました。
評価MTGの場では、「あなたより上のAさんとの差分を洗い出して、どうすればそこまで辿り着くのか考えた方がいいよ」と言われました。どうにかして自分自身を変えたい自分は、毎日気付いた差分を洗い出して、差を埋めようと努力するんですが、一向に埋まる気配はなく、次から次へと出てくる差分に絶望していました。
なりたい姿を見て自分を見て、理想をみて現実を見て、未来の自分に対して不安を抱き続けていました。

そんな自分でしたが、ふとしたきっかけで、コミュニティが主催するイベントに参加してみました。
イベントが終わった時、何かを感じました。
それはかすかな手応えで、何かが変わったような、自分が進む道が見えたような気もしましたが、言語化することができない、小さな感覚でした。
その感覚をどうしても離したくなくて、確かに掴みたくて、自分はコミュニティに参加し続けました。
そして、初めてイベントに参加した時に感じた感覚が、段々とはっきり掴めるようになってきました。

今思うと、この感覚こそが、プロダクト開発に対して抱いた希望でした。
もっといいプロダクトを自分でも作れるかもしれない、自分のチームやお客さん、そして自分を信じれば、何をしても届くことがないと思っていた世界の片隅を覗くことができるかもしれない、と思うようになっていました。
この希望をなんで自分が得ることが出来たのかなって考えてみると、それは、コミュニティにいる皆さんが、自分がこれまでフォーカスしていた未来や過去ではなく、現実により強く目を向けていることに気が付いたからだと思っています。

まず一つ目は、未来から逆算するというよりは、現実から一歩一歩前に進んでいたということです。コミュニティに参加する前の自分は、上手くいった例がそのまま適用できない現状を嘆き、自分が置かれている環境や自分の能力を責めていました。
上手くいった例を聞くと、本に書いてあるようなことや、効果が高いとされているプラクティスを当たり前のようにやっているので、皆さんが当たり前のようにやっていることが何で出来ないんだろう、と思っていました。
でも、コミュニティに参加して話をよく聞いてみると、うまくいかないことを何度も繰り返したり、何度もチームで話し合ったり、試行錯誤した過程の結果が、たまたま本に書いてある状態になっていることに気が付きました。
また、本に書いてあることとは全然違った姿になっているものの、それでうまくプロダクト開発できていることもありました。
本に書いてあるような、ある意味理想的とも言える姿をそのまま実践して、現実を理想の姿にあてこむのではなく、それぞれがおかれている現実から何かしらの変化を起こして、その変化を何度も何度も繰り返すことも、良い方向に向かうための方法の一つであるんだと気が付きました。
例えば、スクラムなんだからプランニングしましょう、とか、優れたテスト技法だからディシジョンテーブルを使いましょう、ではないんですよね。
少しでもよくするためにまずは話してみる?とか、スクリプトテストをやっていたらケース数が爆発したんだけど、実はまず間引けるケースないか考えてみませんか?とかがスタートだったりするんですよね。
勿論、本に書いてあったりカンファレンスで聞いた理想的な形をそのまま実践して、なんとなく適応してしまう凄いチームやプロダクトもあると思うんですけど、そういうチームやプロダクトばかりではないということが分かったのは、自分にとっては本当に大きかったです。

二つ目は、コミュニティのイベントに参加されている皆さんが、その場を皆さんなりに楽しんでいるということです。
終わると、みんな「楽しかったー」って言っているんですよね。
そして次のイベントではまた皆が集まるんです。これが毎回イベントの最後に行われています。
このすがたをみて、コミュニティに参加している皆さんは、自分自身に向き合って、今そこにある楽しい気持ちを味わっているように個人的には感じました。
皆さんがしたい好きな話をしたり、見たい動画をみんなでみたり、困っていることを素直に話しているんです。
これは毎週木曜に開催されている分散アジャイルチームの会っていうところのイベントで特に感じていて、この会って、毎日3時とかまで話が繰り広げられるんですよね、しかも、事前に何話すかとかテーマも決まってないんです。
集まった皆さんが、純粋に今ここにある場を楽しんでいて、時間制限もなく、気が済むまで楽しむ、そんなことが毎回繰り広げられていたんです。
未来にこういう姿になるためにコミュニティに参加しているっていうことではなくて、今そこにある現実をより楽しむことを意識しているように見えて、その結果、会が終わった後に、「今日は楽しかった」「今日も学びが深かった」となっていたんです。

歴史から学ぶことで同じ過ちを繰り返さないような仕組みを作ることも大事ですし、なっていたい未来から逆算して何か物事を決めるのも勿論大切だと思います。
しかし、コミュニティ活動に出会う前の自分は、未来や過去を見つめるのはとても苦しかったです。
皆さんが、今未来や過去を意識して上手くいっているなら、それは変える必要がないと思います。
目指したい姿があって、その姿を夢見て毎日前に進むことができていたり、毎日を充実して過ごせていれば、それは素晴らしいことだと思います。
でも、もし、「何をやってもうまくいかないんだよな」とか「スクラムしてるんだけど全然うまくいかないんだよな」と思っていたら、未来や過去ではなく、現実をみつめてみて、「今をより楽しく生きるためにはどうしたらいいだろう?」「今から踏み出せる最小限の一歩ってなんだろう」と考えてみてもいいと思っています。
そうした問いかけを繰り返している内に、自分はいつの間にか半年で200回のイベントに参加していて、仕事も少しずつうまくいくことが増えてきて、毎日たくさん新しいことを知れて、信じられない位沢山の知識が増えて、幸せな気持ちになりました。

元々の自分にとって、希望は遠くにあって、どんどん離れていくような存在でした。
でも、コミュニティの皆さんと今を楽しみ、現実をよく見てみると、希望は意外と近くにありました。希望は遠くではなくて近くにあったんです。
プロダクト開発がうまくなるための希望は、コミュニティの皆さんとの雑談にも、本にも、自分がこれまで過ごしてきたなんでもないような日々にも、色々なところに転がっていました。
近くにある希望に向かって、今を少しだけよくしようと思って勉強会に参加したり、毎日少しだけチャレンジしたり、そんなことを意識して繰り返している内に、いつの間にかオンライン勉強会に沢山参加して、本をたくさん読んで、仕事もうまくいくようになっていました。

もし良ければ、この記事を読んで、「今をほんの少し楽しむためになにをしよう?」や「仕事をほんの少し楽しむためになにをしよう?」そんなことを考える時間にしてもらえればうれしいです。
「何をやってもうまくいかないんだよな」とか「スクラム開発してるんだけど全然うまくいかないんだよな」と苦しんでいる人や、今は上手くいっているけど、将来もし壁にぶつかって届きそうにない未来や過去の自分に絶望したときに、この話が少しでも刺さればなあと思います。

最後に、自分にこのような気づきをくれたコミュニティの皆さん、特に今回このスクフェス大阪で発表することを後押ししてくれた分散アジャイルチームの皆さん、そして金沢トラックでこうして発表する機会をくれたやなぎさんに心から感謝の気持ちを表して、この場を終わりにしたいと思います。
今後も皆さんと毎日楽しんで、ゆっくりでと少しずつ前に一歩を踏み出していきたいな、と思っています。
これからもよろしくお願いします!