天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

「今村さんと松本さんに聞く!CTOが直面する組織マネジメント上の課題とその乗り越え方」に参加してきた

findy.connpass.com

本日はこちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、connpassのイベントページより、引用です。

4/10にCTO協会主催のDeveloper eXperience Day 2021で行われたBuySell TechnologiesCTOの今村さんとLayerXCTOの松本さんのお二人が登壇したセッション「エンジニアリングマネージャーの苦悩 01on1、評価、定量化0」は250名を超える方にご参加いただき、質問が活発に出るなど大変盛り上がりました。

また、終了後のアンケートでも満足度が非常に高く(満足度の平均が5点満点の4.8点)、「また聞きたい」「もっと詳細な話も聞きたい」との声を多数いただきました。

そこで、お二人に再登場いただくイベントを開催いたします! 今回は、平日昼間にLIVE配信、夜に録画配信という形で行います。 昼間の会では今村さん・松本さんにチャットで直接質問できます。

日々エンジニア組織のマネジメントに悩むCTO/EMの方におすすめです。

会で話があった内容

組織拡大する時に注意すべきことは?

拡大すること自体はお金があればそこまで難しいことではない*1が、拡大した先の組織では、どういう組織になっていたいのか?というビジョンがないと、拡大した先で混乱が生じるので注意しているという話が松本さんからありました。
今村さんも概ね同じ意見で、プロダクトの逆算をしてロードマップを立てて、そこから組織を作っていくというのが重要で、組織拡大が上手くいったパターンはプロダクトの逆算が上手くできていたと思うという話がありました。
また、この話の文脈で、能力重視の採用をしたことに伴い、会社のビジョンとのアンマッチが起きてしまう場合があるという話もありました。
お二人とも、ぱっと目に付きがちな個人の能力よりもビジョンとのマッチを重要視されている点が伺えたのが印象的でした。

マネージャーの育成

マネジメントのテクニック(例えば1on1など)を教えるのも大事だけど、それよりもまずマネジメントってどういうものか、というイメージを、丁寧にすり合わせすることを松本さんは大事にしているという話がありました。
特に、マネジメントがプロダクト作りと密接にかかわっていることや、技術が必要不可欠でエンジニアのキャリアパスに自然と組み込める(管理職的なイメージではない)という話をしてくれました。
自分はマネージャーとしてのマネジメント経験というのはなくて、今後もあまり興味はなかったのですが、「プロダクト作りと密接にかかわっている」という話を聞けて、マネジメントもチャレンジしてみたいなーと思いました。

プロダクトのゴールが徐々に変化した時に当初逆算していた人材像との衝突への対応

今村さんは、プロダクトのゴールの変化に伴い、募集要項を大幅にアップデートすることもよくあるし、それに伴い衝突が起きるのはある意味当たり前で、衝突を避けるのではなく、衝突してから対話を熱心にしたりすることが重要だという話がありました。
対話を熱心にするという所では松本さんからも補足があり、ゴールが変わりそうな時は、事前にメンバーに周知したりプロダクトのゴール自体が模索中である旨を素直に伝えたりして、急に方針が変わったように思われない工夫が大事だという話がありました。
衝突を恐れて変化しないことを避ける今村さんの考え方には非常に共感できましたし、一方で事前に手を打てば避けられる衝突は積極的に刈り取っていく松本さんの話も聴けて、バランス感覚をいい感じに取れたような気が個人的にはしました。

人事評価制度

永遠の課題であるという前提はありつつも、その人の志向や会社のビジョンを考慮してグレード定義をしたという話が今村さんからありました。(グレード定義の数は大企業とベンチャーでは違うということ)
松本さんは、企業の指針に沿った行動をしているかの評価をしようとこれから考えているという話をしていました。ただ、これは人事評価というよりも行動に対してフィードバックするためのツールとしての運用をメインで考えているとのことでした。

リモート下でのマネジメント

タスク管理(チケットの進捗など)はオンラインでも問題なくマネジメントできるので、会社への帰属意識やコミュニケーションの希薄化について特に意識をしてマネジメントしているという話を今村さんがしていました。
今村さんは、Discordで会社を模擬した場所を作って、何かあった時は直ぐにコミュニケーションが取れるようにして、ある程度効果があったという具体的な施策も話してくれました。
一方で松本さんは、そもそもフルリモートは限界があると松本さん自身の経験からは考えているという話をされていました。
オンライン:オフラインの比率は0:100, 100:0で考えるのではなく、例えば文化の話題などは、オフラインでコミュニケーションを取るようにするなど、使い分けしていくことを考えていて、これによってフルリモート希望の人材が採用できないリスクは飲んでいるということです。

技術のキャッチアップ

二人とも相当お忙しいと思うのですが、今村さんは「仕事を12時間してもまだ残り12時間あるし、なんだかんだキャッチアップする時間はある」という話をしていて、松本さんも「隙間時間はなんだかんだあるので、テックリードからの情報をキャッチアップしていく」という話をしていました。
また、お二人とも良質な情報を選別しているという話をされていて、学びのきっかけを与えてくれる人材や、専門家からの情報に敏感に反応する、と話していました。
今日この場(ランチタイム)もそうですが、時間がないように見えて学ぶ機会はあるので、そのような機会で少しでも学びを得られるように自分も精進していきたいと思います。

全体を通した感想

会の中でお二人の意見を多数聞けて、思考プロセスを伺えて、1時間という時間とは思えないほど濃い密度でした。
よどみのない言葉でずばずばと話をしていくお二人の姿が印象的でしたが、話の裏にある、地道で泥臭い努力が垣間見えたのが、個人的にはそれ以上に心に刺さりました。

最後の一問一答も、お二人がそれぞれの思考を凝縮した回答をずばりとされていて、楽しかったです!
またお二人の話を聞きたいと思える、素敵な会でした。

*1:例えばエージェントに人を投入してもらう依頼をするなど