チームや個人の観察について、自分なりに現段階で考えていることを整理しようと思います。
この記事を書こうと思ったきっかけ
ここ最近、観察が少しずつできるようになってきたと個人的に感じることが多くなってきました。*1
そのため、何を意識したら観察ができるようになってきたかをふりかえり、一度整理しておきたいと思いました。
なお、少し上手くできるようになってきたとはいえ、まだまだ会社の先輩やコミュニティで会う皆さんのようなレベルでは観察ができていないことを実感しています。
そのため、今後の自分がこの記事をふりかえりながら、スキルを伸ばしていけるようにしていきたいと考えています。
観察の定義
この記事における観察の対象は、チーム/個人となっています。
また、観察の定義は「チームや個人がどういう状態かを注意深く見ること」とします。
具体的には、
- チームや個人に何が影響を及ぼしているか
- チームや個人のふるまいがどんな要因で発生しているか
- チームや個人は何をストレスに感じているか
等々を注意深くみることがこの記事における観察にあたります。
なんで観察するのか
以前の記事にも少し書いたのですが、若手を中心にチームメンバーが次々と辞めるという事態が発生していたため、微力ながらも何とか立て直したいという想いで、まずはチームや個人の状態を観察したいと考え、意識的に観察を行うようになりました。
観察を行うことで、機能不全を起こさせている原因や障害を特定することが可能です。
特定した原因や障害を除去することで、チームが少しでも良い方向に向かう手助けをしていくのが、観察を通して最終的に達成したいことです。
観察ができるようになるためにやったこと
観察力を磨くための勉強
観察するための力(=観察力)を磨くための勉強をしながら、学んだことをひたすら実践しました。
具体的には、以下のことを行いました。
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本はアジャイル開発関連が多いですが、今後は組織論や心理学、文化人類学や行動経済学といった学問を勉強していく必要があると最近は考えています。
チームの決断や個人の考えは絶対に正しい前提で話を聴く
何らかの前提があれば、チームの決断や個人の考えは絶対に正しいものになることを意識して話を聴くようにしました。
この前提を置くことで、今までは気が付かなかったメンタルモデルや思わぬ障害、プレッシャーに気が付くようになりました。
行動を重点的に観察する
アジャイル開発で実際に動作するものを大切にするのと同様に、実際の行動を重視して観察するようにしました。*2
行動を重点的に観察することで、言葉と行動のギャップに惑わされることがなくなり、混乱する機会が減って、短い時間で多くのことが分かるようになったような気がします。
また、副次的な効果として、「~と口では言っていたのに実際は違う」みたいなストレスが激減しました。(置かれている立場や環境上、自分にはここまでしか言えないよね、と割り切れるようになりました)
観察の観点を記録しておく
観察した結果今まで気が付かなかったことが分かった場合、その時に何に注目していたかをメモして、観察の観点を溜めておきます。
観点を溜めて、定期的に棚卸をしていくことで、どのような状況ではどのような観点で観察するといいのか、どのチーム(人)はどのような観点で観察するといいのかが分かるようになってきた気がします。*3
幾つかを適当にピックアップすると、
チームの場合
- チームに与えらえているプレッシャー
- チームごとの関係性
- 会議の合計時間
- ペアワークしている時間の合計
- レトロスペクティブのメンバーごとの発言回数、発言時間
- チーム全体の労働時間
- チームで発生する雑談の内容
- チームで雑談が週ごとに平均何回位発生するか
個人の場合
- 人に対しての、言葉や文章の差(Aさんに対しての言葉や文章とBさんに対しての言葉や文章の差)
- 表情
- 席を立つ回数
- 労働時間
- Slackの発言数
- Slackでリアクションが来る速さ、リアクションのスタンプの種類
- (二人で会話した時の)会話のスピード
- (二人で会話した時の)発言のバランス(=話す時間:聴く時間)
等が観点として使えることが分かりました。
継続的に観察する
上記に記載したような観点で、継続的に観察をするようになりました。
継続的に観察をすることで変化に気が付くようになり、変化の原因を深堀していくことで、チームや個人を取り巻く状況が見えるようになってきた気がします。
その他
現段階では上手く言語化できていないのですが、オブジェクト指向の理解が深まってきたことが、観察を上手くできるようになってきたことに寄与している気がします。
※オブジェクト指向で開発する時と似たイメージを持って観察すると新しいことが分かる場面が多い気がする...
おわりに
記事の前半でも書いた通り、少しは観察ができるようになってきたとはいえ、まだまだ道半ばであることを実感しています。
今後も試行錯誤や勉強を繰り返しながら、少しずつ上手くなっていきたいな、と思っています。