天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

「アリ語で寝言を言いました」を読んだ

アリ語で寝言を言いました (扶桑社新書)

アリ語で寝言を言いました (扶桑社新書)

「アリ語で寝言を言いました」を読んだので、感想を書いていきます。

 

読んだきっかけ

distributed-agile-teamでkyon_mmさんが持ち出していたアリの話が、自分の組織に通じる部分が多くあり、アリに対して興味を抱きました。
ただ、仕事が忙しかったこともあり、アリの話を本で読んでみよう!という所までは至っていませんでした。
そうしてしばらく時が経過したのですが、RSGT2021で聞いた素晴らしいセッション(kyon_mmさんのセッション&野中先生のセッション)の中にアリの話が出てきて、丁度連休中だったということもあり、これはもう読むしかない!ということで、ついに読んでみることにしました。

読んだ感想

想像を遥かに超えたアリの奥深さ

日常生活でもっとも多く目にする昆虫のアリに、まさかここまで奥深さが潜んでいるとは思いませんでした。
キノコアリの共生関係の話、ハキリアリのお喋りの話、裏社会で生きるサムライアリの話、グンタイアリとハキリアリの戦いの話、敵を見つけると自爆して自身の体内から毒を相手にかける自爆アリの話...アリの多種多様な生態に驚かされました。

村上先生の文才が凄い

まず、本を開いた瞬間の

キュキュキュキュ キュッキュキュキュキュキュ
キュキュキュ キュキュキュ
キュキュキュキュ キュッキュキュキュキュキュ
キュキュキュ キュキュキュ

でただならぬ何かを感じました。
そこからは、アリの話が本書の最後までひたすら続くのですが、村上先生の並々ならぬアリへの愛情や、時折提言される現代社会への警鐘,,,文章のバランスが見事で、最後まで一気に読み切ってしまいました。
途中途中に挟まれるコラムについては、思わず声を出して笑ってしまう内容が多く、家の中で本書を読んで正解でした。

アリや村上先生から学ぶべき数々のこと

キノコとキノコアリの関係性の話

キノコとキノコアリの関係性の話を聞いて、他者と自分の関係性を改めて見直すと、学びが多かったです。
本文中にあった「サピエンス全史」の例(穀物を栽培しているように見えて、実は栽培されている人類)をはじめ、身近の人々との関係性を改めてふりかえると、皆さんも色々と発見があるかもしれません。

村上先生のアリに対する姿勢

アリに対する村上先生の姿勢(アリが食べている菌を食べる、アリ語で寝言を言うまでアリの言葉に耳を傾ける...)は、今回のRSGTで野中先生が言っていた「五感を駆使して共感する」話をまさに体現されていると感じました。
あの人は何を考えているのか分からないからダメ、と嘆くのは、村上先生と同じ位相手に寄り添ってからにしようと思いました。

アリの社会の話

洗練された複雑で大きな社会、小さいけど平等でぼんやりできる社会、どちらもアリの社会として立派に成立しているという話が心に刺さりました。
現代だと、どうしても前者の社会の方が尊重されがちなイメージを持ちますが、後者の社会だって立派な社会で、アリと同じように人間も多種多様な価値観や社会が尊重されるような世の中になるといいな、と思いました。

さいごに

最高の本でした。
アリの話がまさかこんなにも面白いとは思っていなかったです。
また、村上先生のアリに対する情熱が伝わってきて、読んでいて常にわくわくしている自分がいました。
本のタイトルにもなっている、アリ語についての論文を村上先生が執筆する日を待ちわびています!