天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

Clean Agileを読んだ

1ヶ月位積読していたClean Agileをようやく読んだので感想を書きます。
ボブみが溢れていて超良著でした。周りで読んだ方々の評判が凄く良い理由も納得です。
なお、今回の記事はいつもよりも抽象度を高くして、本からの引用や本の内容のまとめもなるべく少なくしていこうと思っています。*1

Clean Agile 基本に立ち戻れ

Clean Agile 基本に立ち戻れ

読んだきっかけ

  1. アジャイル開発について自分が勘違いしている部分/疎かにしている部分を探して矯正したかった
  2. 最近CSMの受験でスクラムに傾倒し過ぎていたので、自分が初めて出会った時に感動を覚えたアジャイル開発に立ち戻りたかった
  3. ボブみが欲しくなった
  4. 読んだ方から上がる感想が抜群に良かった(↓購入の決定打になったpodcast)

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刺さった文章たちの抜粋

たくさんある刺さった文章の中から、いくつか紹介します。

機械にできることを人間にやらせるのは、高くつくのに非効率だし、道徳に反する

道徳に反する!!ボブさんらしい表現で最高でした。残念ながら自分の現場では非道徳的な手動テスト(準備も含む)が開発工程の中で多くの割合を占めているので、チームで協力しながら改善を進めていきたいです。

自分が雇われている理由は、コードを書く能力よりも「ノー」と言える能力のためだと自覚すべきだ

「ノー」ということこそがプロフェッショナルな態度だと価値観をアップデートできたのがつい最近だったので、個人的に刺さりました。

今日の天気を予測するには、昨日の天気を見ればいい

これはおやおや...?となった部分です。先日江端さんが未来を予測するために過去に執着し過ぎる危険性を、まさにこの天気の例で訴えていたと聞いていたので...
ここは他の部分とは少し刺さり方が違くて、自分の中で論理的な根拠を持って納得できるまで頭を整理したいな、と思って立ち止まった部分でした。

残業したからといって、雇用主に献身的であることを示したことにはならない。あなたが計画できない人であり、合意すべきでない納期に合意した人であり、守れない約束をした人であり、専門家ではなく従順な労働者であることを示すだけだ

ここもボブみが深い表現でばっさり切り捨てていて最高でした。
組織からの批判を恐れ、献身的であることを示すために残業して、結果的に低い成果物を作って信頼を失う、というループを何回も見てきた身としては、改めて残業に酔うことの危険性を理解できました。

アジャイルのムーブメントが始まった80年代後半に解決してなかったのは、小規模なソフトウェアチームの問題である。比較的小さなグループのプログラマーたちをうまく組織する方法がわからなかったのだ

大規模アジャイルに対するボブの考え方が書かれた箇所の一部分です。
アジャイルは魅力的な要素が強くて、銀の弾丸として捉えてしまうことが自身は多く、丁度昨日も、アジャイルに誤った期待を持ってしまっていた場面があったので、アジャイルが解決したい問題や生まれた背景を改めて見つめなおす良いきっかけになって良かったです。
大規模アジャイルについては、他にももっと過激な表現で言及している場面が多いので、是非本を手に取ってボブみを体感していただければと思います!
ただ、個人的な意見としては、大規模な組織やチームの問題解決にこれまでとは違う考え方(=アジャイル)を取り入れようと試行錯誤する姿勢自体は素晴らしいものだと考えていて、大規模アジャイルからも何かが生まれるんじゃないかな、という漠然とした期待感は持っています。

全体を通した感想

自分の手元のメモには60個くらい刺さった文章の引用があり、常に心が動かされっぱなっしな本でした。
副題の「基本に立ち戻れ」にある通り、ボブからの愛ある説教を通してアジャイル開発の出発点に立ち戻れる素晴らしい本でした。

*1:超良著だったので是非詳しく紹介をしたい一方、翻訳者の角さんがまとめ記事をインターネット上で公開されたくない、という至極まっとうな意見を仰っていたのがその理由です