天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

トゥールミンモデルを活用して論理性がある議論や主張をしたいという話

昨日トゥールミンモデルというものを知りました。*1
議論が苦手な自分にとって興味深い話で、色々調べたので、学んだことをまとめます。

 

 

トゥールミンモデルとは

レトリック論の文脈で、イギリスの科学哲学者トゥールミンが考えた、効果的な議論*2をするためのモデルです。(TMA : Toulmin’s Model of Argumentとも呼ばれる)

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以下記事に綺麗に整理されています。

www.atelier-roi.co.jp

 

トゥールミンモデルが生まれた背景

トゥールミンは、形式科学としての発展を試みていた当時の論理学に対して問題意識を表明しました。
トゥールミンは論理を、"日常生活において人々が実際に論を使用する際に役立つもの"と捉えていたため、形式科学としての発達はトゥールミンが望む方向からは逆行するものだったからです。
そして、人々が実際に論を用いる行為に着目して、前述のトゥールミンモデルを生み出しました。

トゥールミンモデルから得た気付き

1. 根拠=Dataであることから得た気付き

まず、自分が根拠と理由を混同していたことに気が付きました。
相手から共感を得られなかった自身の発言を思い返すと、ほぼ全ての場面で、根拠ではなく理由(自身の感情や想い)を提示してました。
また、主張を裏付ける際には根拠だけでは不十分で、根拠を支える論拠(根拠を自身がどう捉えたか)と論拠を支える裏付けが必要な点を知り、自身が根拠と論拠を混ぜて話をする悪い癖があることに気が付けました。

2. 反証から得た気付き

自身の主語が不適切な(=大きすぎる)場面が多いことに気が付けました。
例) 「会社がXXXと考えているからYYYすべき」や「チームがXXXするにはYYYすべきだ」など...
根拠, 論拠, 裏付けがしっかりできている主張が、主語の範囲を広げたばっかりに受け入れられないのは勿体無いので、反証を意識することで、主語や主張が正しい状況のスコープを適切に管理したいです。

3. 限定詞から得た気付き

自身の発言に限定詞がないが故に説得力を欠いた発言になっている場面が多いことに気が付けました。
初めて顧客と対面した時、上司からいただいた「自信がなさそうに聞こえるから主張をする時は言い切りなさい」というアドバイスを、ほぼ全ての場面で馬鹿正直に適用していましたが、言い切る(=限定詞をつけない)ことで主張の論理性を失っている場面も多々あったので、注意したいです。

 

トゥールミンモデルを知ってから自分の発言を見直すと、めちゃくちゃ論理性の低い発言ばかりだなあ...と感じました。
最近論理的思考力が少しついてきたと実感していた自分が恥ずかしいです笑
自分の未熟さと勉強不足をまた認知できたので、引き続き精進していきます!

参考文献

トゥールミンの議論モデルの変容
S・E・トゥールミンにみるargumentationの意味とその数学教育上の意義

議論の技法

議論の技法

*1:
知ったきっかけは分散アジャイルチームについて考える会というイベントです。毎回学びが多すぎてブログには全てをとても書けないですが、初心者上級者関係なく凄く楽しめるイベントなので、興味ある方は是非参加ください!

distributed-agile-team.connpass.com

*2:議論の定義は、「合理的判断が下される前に、聞き手や読者と対立する視点を正当化(または拒否)することを意図した一連の命題群を提示することにより、その視点の受容可能性を高める(または減らす)ことを目的とした言語的社会的理由付け活動」です。
※後半部分の"受容可能性を高める"って表現が自分の意見を押し付ける姿勢と対極にある表現で素敵だな、と個人的に思いました