天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

スクラムフェス大阪(2日目)で話してきた

スクラムフェス大阪の2022の2日目に参加して、札幌トラックで話をしてきたので、その感想(ふりかえり)を書いていこうと思います。

confengine.com

スライド公開は、少々お待ちください。

発表することになるまで

プロポーザルを出して、どこかに選ばれると良いなあとドキドキワクワクしていたのですが、なんと!札幌トラックにドラフト一位で指名をしてもらうことができました。

アジャイル札幌のコミュニティの皆さんには本当にお世話になっているので、すごく嬉しくて、過去で一番発表準備に対するモチベーションが湧きました。

詳しくはこちらに書きました。

aki-m.hatenadiary.com

準備

意気揚々と発表の準備を始める〜発表3週間前〜

Acceptされてからすぐに準備を初めました。
スクフェス新潟があったり、他のフェスのプロポーザル提出期限が被ったり、普通に仕事の勉強があったりする中での準備でしたが、前述したように話せることがとっても幸せだったので、心理的負担はそこまでなく、準備を進めることができました。

とりあえず、まずは自分が書いていた読書ノートの、「どのようにその本を読んだか」の部分から、本の読み方に関しての記述をスライドにペタペタと貼り付けしていきました。
90分のセッションということもあり、まあ何枚作っても多すぎる分に困ることはないから大丈夫だろうとこの時は思っていました。

スライド爆発〜発表2週間前〜

元々考えていた構成に合わせて、読書について自身が試した順にコピペをしていったところ、異変に気がつき出しました。
スライドの枚数がどうもおかしいのです。。

元々考えていた構成ではどうにもできなさそうだということに気がつき、コンテンツの内容はなるべく落とさずになんとか90分セッション内に収めようという大規模リファクタリングが始まりました。(話しきれない前提にして、参加者が聞きたいと思った部分だけを紹介するというスタイルでも全然いいのかなーとも考えていたのですが、駆け足で発表するようなセッションを楽しみにされている方も一定数はいらっしゃりそうだなあという推測があったので、万が一そうなった場合に耐えうるコンテンツにしないといけないな、という気持ちがありました)

ひたすらスライドと格闘する日々〜発表1週間前〜

構成を大きく変えてまとめ直したのですが、それでも削れたのは380枚ほどで、600ページ強の資料になってしまいました。。

土曜日にリハーサルをしたのですが、260分かかる事態になり、いよいよ途方に暮れることになります。

コンテンツを何かしら削らないといけないので、まずはカタログの内容以外の部分を極力カットするようにしました。*1
その上で、資料をめくる部分のロスを減らすためにページ数の圧縮を試みることにしました。
プレゼンのセオリーである1ページ1メッセージなどを全て無視して、できる限りまとめることを試みました。

ついにスライド完成〜発表当日〜

発表当日まで、上記の取り組みをし続けました。

スライドの構成や記載内容について統一感が薄れたりといった気になる部分は多々あったものの、発表前日になんとか完成しました。

ただ、普段は一週間前というと、台詞の暗記だったり、想定問答集に対する回答の精査だったりをしてい流ので、今回はひたすらスライドと格闘していたことに対する焦りはだいぶありました。

最終調整で、スクフェス大阪のKeynote要素を取り入れるなどは前日にやっていましたが、なんとか発表できそうな形にはなりました。

発表

一人で駆け抜けることを頭の片隅で予想してはいましたが笑、90分セッションであることや、スクフェス大阪の雰囲気に乗ることを考えると、インタラクティブ制を大切にしたいなあという思いがすごく強かったので、皆さんからたくさんコメントをいただけて、本当に助かりました。

トラックが並行していること&裏セッションが超強力なこと&90分セッションということで拘束時間が長くなってしまうことの3点から、参加者数が少なくなり、コメントが過疎化するような事態が一番避けたかったのですが、参加者の皆さんが活発にコメントを書いてくれたおかげで、皆さんと会話しながら、皆さんと一緒にプレゼンをすることができたと思います。
参加者の皆さんには本当に感謝の想いでいっぱいです。

今回はスクリプトを全て作り込むことができなかったため、普段に比べると言葉がスムーズに出てこなかったり、話しながらこのあたりの説明は雑だなあと思ったり、予想があまりできていなかったり...反省も色々あるのですが、本当に楽しかったですし、90分枠で話せる機会をいただけたのは本当に貴重で、太い経験ができたと思います。どうもありがとうございました!

*1:そのため、自分自身が読書をする理由の部分をはじめ、プロポーザルに元々書いていたOutlineが削れてしまいました。ここを期待している方がいらっしゃったら、本当に申し訳なく感じています

スクラムフェス大阪(1日目)に参加してきた

www.scrumosaka.org

今日はスクフェス大阪の1日目に参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。(仕事が終わった後の参加だったので、Keynoteからの参加でした)

会で印象的だったこと

Keynote

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移動しながらだったのでチャットは追えていないのですが、角さんのKeynoteをまず聞いていきました。

角さんのプレゼンを聞くのは今回が初めてだったのですが、(口調こそ穏やかで淡々としていましたものの)イメージしていたよりもかなりパッションがこもっている印象があって、1トピック1トピックがすごく刺さりました。
特にクラフトマンシップのくだりの話や、チームづくりに傾倒しすぎた結果エンジニアがアジャイルから距離を置いてしまうという話はグッときて、かなり悩んだ末にしばらくは技術力や開発者としてのスキルを最優先にして学んでいこうと考えた自分の背中が押されたような感じがしました。

「DS(どうかしている人)」「基本に立ち戻れ」といった今後のセッションの核になる可能性を秘めたようなキーワードも幾つか出てきて、めちゃくちゃいいKeynoteだったなあと、ブログを書きながらしみじみと感じています。

トラック紹介

続いて、各トラックから、各地域トラックの雰囲気全開のトラック紹介を聞いていきました。

Keynoteと合わさって、スクフェス大阪が始まったなあというワクワク感がどんどん溜まっていく時間で、最高でした。
どのセッションもめちゃくちゃ見たいし楽しみなので、今年も余裕があれば全セッション見ようと思います!笑

また、札幌トラックでは盛大に(??)紹介してもらえたので、盛大な紹介に負けないくらい盛大に盛り上げられればと思います。

F1グランプリ

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最後にF1大阪グランプリを見ていきました。

さすがのやっとむさんでしたが、どのお題に対しても接戦が繰り広げられていた印象でしたし、角さんが入ったことでまた空気が全然違ったものになっていたのが面白かったです。

角さんが「みんなスクラムやっていないんじゃないか?」と最後のお題で軽快にフィードバックしてしまったのも、最高でした。

大阪だったということもあったのか、みほらぶさんのトークもエンジン全開で、出走者はもちろんですが、改めてみほらぶさんの凄さも実感しました。

全体を通した感想

スクフェスは多数立ち上がってきていますが、どの地域もやっぱり地域色がはっきりと出ていて、その中でも明らかに異質な大阪色がふんだんに出ていた1日目でした。
角さんのKeynoteがとっても良くて、明日以降の発表のコンテキストも確実に作られたのかな、と感じています。

やっぱりフェスは楽しいなあと心から感じられて、最高でした。

宣伝

明日10:00〜札幌のトラックKeynoteを話してきます!
これまでの発表の中ではダントツに「使える」発表になっていると思うので、90分セッションではありますが、是非是非足を運んでください!

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今回はいつもに増して裏が超強力なセッションなので、最後に宣伝を挟ませてもらいました笑

アジャイルカフェ@オンライン 第13回に参加してきた

agile-studio.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

木下さん、天野さん、家永さん、のアジャイルコーチ御三方が、視聴者の方から寄せられた質問に答えてくれるという会です。

今日は、「心理的安全性を引き上げるためのプラクティスはなにか?」という質問に対して答えてくださいました。

会の様子

会で話されていたことを以下に記載していきます。

心理的安全性を下げてしまうアンチパターン

まず、心理的安全性を上げる行動の逆に、下げてしまう行動(アンチパターン)が挙げられていました。

  • 相手に対して、何かしらの行動を改めようとしているように捉えられる振る舞いをする*1
  • チーム内の暗黙の了解を作る。「これは知っていて当然」という空気を作ってしまうと、チーム全員が実際知っていたとしても、いざ知らないことが出てきた時に質問がしにくくなってしまう。
  • 反論をすぐにする。自分の発言が受け止められていないように感じられてしまう。

グラウンドルール

ふりかえりの場などでは特に、場のグランドルールを設けておくことが勧められていました。
ただ、グラウンドルールを作った結果、チームメンバーが何かを押し付けされていると感じるような浅い関係性の時は、まずはチームメンバーと1on1をするなどして、関係性を築いていく工夫が必要なのではないか?というお話が挙がっていました。

意見のメリット・デメリットをセットで確認する

意見を否定すること自体は悪いことではないが、否定されたことに抵抗を強く感じるような人がいる場合は、常に意見のメリットとデメリットをセットで考えるようにする工夫も重要だというお話が挙がっていました。

bad news first

(特に立場が上の人が)bad newsを知ったときに、まずbad newsを伝えてくれたことに感謝することで、言いにくい話が積極的に報告される文化を作れるというお話が出ていました。

定期的に1on1を続けておく

何か相手に対して話したいことやフィードバックしたいことができた場合には、すぐに話ができるように、定期的に1on1の場を作っておくことが重要だというお話が出ていました。

権威勾配をなくす

チーム内の権威勾配をなくすために、ニックネームでお互いに呼び合うルールを作ったり、呼び捨てで読んだりすると良いというお話が出ていました。

航空会社でも、機長に対して「機長」とは絶対に呼ばないように教育されるそうです。

みんなで共通の敵を作る

あまり好ましくないものだという前提はおきつつも、同じ目標がない場合は、共通して立ち向かいたいもの(会社のいけていないルールなど)を作ると、チームが言いたいことを言い合えるようになったというお話が出ていました。

Good news

24時間以内に起きた重要なニュースをお互いに毎日言い合うことを続けていくと、相手に言いにくいことがフィードバックされたりと、チームに変化がみられたそうです。

NetFlixの事例

リスクを冒しながらコミュニケーションをしていることや、お互いに傷つくこともあるよね、という前提を置いてコミュニケーションを日々とっているというNetFlixの事例が紹介されていました。

フィードバックなんだけど。。という前段を置くことで、そういったリスクを冒すことを明言するのも効果的だということです。

会全体を通した感想

いつも以上に御三方の裏話が聞けたり、会の参加者からのコメントでチャットが追えなくなるくらい盛り上がったりと、心理的安全性がホットなトピックなんだなあということを改めて実感しました。

元々自分の上司であった木下さんにはなかなか遠慮してしまって...と話していた天野さんも印象的でしたw(もちろん冗談で話されていたと思いますが笑)

*1:天野さんは、家永さんが入社当時に「社会人として知っておくべきマナー」のような本を渡してしまい、マナーがまだなっていない人だと思わせてしまったんじゃないか?と後悔しているということです

アジャイルとは何なのか DDDとはどうつながるのかに参加してきた

ddd-community-jp.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

アジャイル」とはなんなのか、迷子になっている人は多いのではないでしょうか。 今回は、アジャイルとは何なのか、その目的や全体像を解説し、 さらにDDDとの繋がりがどうなっているのかということについて解説します。  

会の様子

アジャイル開発とは?

アジャイルソフトウェア開発宣言の説明からスタートし、アジャイルはあくまでも思想であることや、スクラムやXPといったアジャイルの思想に沿った開発手法が存在することの説明がありました。

DDDも、このアジャイルの思想に沿った開発手法の一つだということです。*1

アジャイルの本質

マーティン・ファウラーが、アジャイルの本質として2つの要素を挙げているというお話があり、この要素について説明がありました。

予測的ではなく適応的

予測通りに進んだことではなく、プロダクトが価値を生み出したことを「成功」とアジャイルでは定義しているという話がありました。*2

プロセス指向ではなく人指向である

属人性をなるべく排除して、誰しもが同じアウトプットを出そうとする手法に限界を感じ、人を最重要視することが、アジャイル開発だというお話がありました。

DDDとアジャイル

Evans本にて、「DDDはアジャイルの思想に則った開発手法の一つである」という記載がある点と、DDDの前提がアジャイルを想定しているものであると考えられる*3点から、アジャイルの開発手法の一つとして捉えているというお話がありました。

Q&A

従業員を全員クビにすることがシステムの一つのゴールだが、DDDはどう解釈しているのか?

システムのゴールの定義が誤っている可能性が高いという話でした。
コスト最適化の話はありつつも、全員クビにしようという発想はDDDやアジャイルで持ち合わせておらず、あくまでもプロダクトが価値を出すことにフォーカスしているというお話です。

組み込みソフトウェア開発にDDDは有効か?

組み込み開発の経験がないという前提を起きつつ、DDDが大切にしている人指向やモデリングはどんな分野でも有用だと考えられるため、有効だと言えるのではないか?というお話でした。

アジャイル開発ができないとDDDはできていないのか?

アジャイル開発ができている」という定義が曖昧で、あくまでも今よりアジャイルな状態を目指すのが重要なので、そのようなことはないというお話でした。

最初のモデリングはいつ実施するのか?(スクラム前提)

もちろん「もっと早くやっておけばよかった」という話が出ることはあるものの、いつからやっても間に合うものなので、モデリングの必要性を感じた時が最適な実施タイミングだというお話でした。

ユーザーストーリーマッピングインセプションデッキといったアジャイルラクティスはDDDのモデリングに必要となるものであり、やるべきか?

必要だと思うならやるものであり、DDDだからやる、みたいな話はないのではないかということでした。(プロセス指向な考え方になってはいないか?という指摘も出ていました。)

10年ものの保守システムにアジャイルは向いているか?

人を重視することや適応的に仕事を進めるメリットは享受できるので、導入して悪いことはないのではないか?というお話が出ていました。

意欲的な人がいないのならアジャイル開発をやらない方がいいか?

上の質問と同様に、人を重視することや適応的に仕事を進めるメリットは享受できるので、やらない方が良い場面というのは存在しないのではないか?ということでした。

ペアプロを実践するとコードに愛着が持てなくなる。。

手触り感がなくなる気持ちはわかるので、一部だけソロで実践するといった工夫をすると良いのではないか?ということでした。

アジャイル開発を始めた時のトラブルは?

アジャイル開発を始めた時っていうのがいつか分からないので質問には答えられないが、スクラムを始めた時は多数のトラブルに巻き込んだということです。

アジャイル開発を実践しているが、やる気のない後輩がいてうまく進まない

アジャイル開発のスコープ外の問題になっていないか?(具体的にいうと、採用や育成、評価制度のスコープではないか?)というお話が出ていました。

何でもかんでもアジャイルにすることで解決する、という風にアジャイル銀の弾丸にしないように、注意してほしいということです。

どんな立場で松岡さんはアジャイルに関わっているのか?

スクラムを導入しつつ、モデリング開発プロセスについては、チームを跨いで横断的に改善に取り組んでいるということです。

全体を通した感想

全てをアジャイルで解決しようとしない、うまくいかない理由を全てアジャイルに押し付けない、というお話は非常に共感できました。

Q&Aセッションでは、アジャイル開発をめぐって色々と悩まれている方は多いんだなあ。。ということを改めて感じました。

*1:アジャイルソフトウェア開発宣言の思想を受け継いでいるものであれば、アジャイル開発といってもいいだろうというお話でした

*2:予測通りにスケジュール遅延なく進んだけどプロダクトをユーザがまるで使っていないプロジェクトAと、予測からは大幅に遅延して炎上したけどプロダクトをユーザが使っているプロジェクトBがあった場合、プロジェクトBが成功だと考えるということです

*3:開発がイテレーティブであり、開発者とドメインエキスパートが密接に関連している

大人のソフトウェアテスト雑談会 #111【ワン×3】に参加してきた

ost-zatu.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていきます。

論文がAcceptされるまでの障壁

論文がAcceptされるために訪れる関門の話を聞いていきました。

例えば、「研究の必要性がわからないので、研究が必要だという言及がある論文をXX本引用してほしい」といったような指摘がくるようで、こうした指摘対応によって追加された記述が元々書いていた論文の3倍近くなるなど、なかなか厳しい世界があるようです。。。

他にも、英語で書き直してほしいと言われるなど、論文の内容以外での障壁もあるそうで、それなりの覚悟を持って論文を書き始めないといけないんだなあ。。という気持ちになりました。

他にも、1本の論文を執筆するのに100本近い引用をしたり、それ以上に多数の論文を読んだりといった準備の部分で起こる大変さや、営利につながる話なのかといった審査、実績が残せないと冷遇されて職を失うリスクが出てくるという話...様々なお話を聞いていきました。

デジタルネイティブ

最近の学生はデジタルネイティブだということで、テキストをデジタルでやり取りするときに、相手になんとなく気づかせるような表現を自然としているということです。
また、対立の匂いを感じる*1と、対面でのコミュニケーションに切り替えたりすることもよくあるということで、LINEのやりとりなどの練習を通して、鍛えられているんだなあと感じました。

ちなみに、少し年がいった(?)方々だと、皮肉をこめた指摘をしたり、「反対です」「僕はそう思いません」といった具合に一言だけ返答するということがまあまあな頻度であるようです笑

お金を払って上司をつける

時間外に会話をすると、ハラスメントとして扱われてしまう可能性が最近は出てくるようで、時間外に何かしらを教えてもらうときは、別の会社の人に対してお金を払って、正々堂々教えてもらうような文化が存在するという話が出ていました。

全体を通した感想

今日も外部公開が少し憚られる情報が多かったですが、書けない内容が過去トップクラスに面白くて(学術の裏側を少し覗くことができました)、記事に残せないのが残念です。。
博士号関連の話は、特に面白かったです。

*1:対立の匂いに対してもめちゃくちゃ敏感なようで、このやり取りはこの後よくない方向に行きそうだ、と感じてすっと引いていくようです。

『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門』を読んだ

こちらの本を読んだので、感想を書いていこうと思います。

現場感が溢れるコード

サンプルコードや悪いコード例の説明は、もちろん実際に現場で動いているコードではなく、本のために作られた例だとは思うのですが、あまりそのようには思えないほど現場の味が溢れるコードでした。

サンプルコードの手触り感や、実際に書いてみたり直してみたりなる感覚、というのがすごく感じられて、よくできている例だなあと素直に驚きました。

随所でインパクトがある用語が登場

本で悪いコードや良いコードが紹介されると、そのコードの問題点や改良点がわかるような用語が名付けられています。
用語は解釈や定義が分かれる曖昧なものが少ない上にインパクトもあるため、今までなんとなく避けていたコードに対して名付けがされることで、頭の中が整理された感覚がありました。

一方で、太字になっている部分の中に、公式な用語と本書のみで定義されている用語が混在しているのは、(特にこの手の話題に精通している)人によっては読みにくいのかもしれないとは感じました。*1

次への道標がある

本書でカバーできていない部分や解説が省かれていた部分については、丁寧に次に学ぶための道標が用意されていたのが、非常によかったです。
参考文献の中には、以前読んだけれども今ひとつ消化不良で終わった本も多かったので、改めて本を読んでみようと幾つかの本については思いました。

この本だけで完結せず、これ一冊で継続的に学び続けられるスタートが切れるという点で、入門者や新人にも勧めやすい本になっているなあと感じました。

コードサンプルが多く内容が具体的

自分がちょうどFlutterを使い始めということもあって、Dartで本書の内容を書き直しながら読んでいきました。

そんなこともあって、書籍内であった良い例/悪い例問わず多数のコードサンプルの存在は非常に助かりました。
実際のコードで語ってくれることで理解の助けにもなりましたし、現場で実践しやすい「使える」本になっていたと思います。

一方、コードサンプルが具体的だったが故に感じたのかもしれませんが、コードを説明する際に用いられていた、「悪魔」を代表としたメタファーは理解の助けになっている感覚があまりなく、やや冗長にも感じました。

全体を通した感想

解説自体が面白く、ページ数こそ多いものの楽しく読める本で、多くの人に読まれる理由がわかる本でした。

また、本を通して現場の生々しい様子が終始伝わってくるような本で、これまで読んできた技術書とは全然違う読後感を味わうことができたのも非常に印象的でした。

参考(著者トークで話していた内容のメモ)

aki-m.hatenadiary.com

*1:ただ、本書の対象読者は初級者〜中級者なので、対象読者が違うのかもしれません

ストレングスファインダーをやってみた(2回目)

ストレングスファインダー*1の2回目をやってみました。

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2回目をやってみたきっかけ

最近自分を取り巻く環境が大きく変わったり、コーチングを受けていて自分の変化に気が付くことがあったりしていました。

そんな中で、ふと1年以上前に受けたストレングス・ファインダーの存在を思い出し、あの時はそれなりに納得感があった自分の特性や資質がどのように変化しているのか?(あるいは変化していないのか)を知りたくなりました。

結果

以下のようになりました。

各項目について、1回目との変化は以下の通りです。

達成欲 : 3 -> 1
アレンジ : 6 -> 14
信念 : 30 -> 21
公平性 : 13 -> 27
慎重さ : 19 -> 10
規律性 : 31 -> 30
目標志向 : 15 -> 11
責任感 : 17 -> 18
回復志向 : 16 -> 32
活発性 : 25 -> 33
指令性 : 26 -> 23
コミュニケーション : 29 -> 26
競争性 : 4 -> 8
最上志向 : 11 -> 13
自己確信 : 27 -> 24
自我 : 24 -> 9
社交性 : 32 -> 29
適応性 : 14 -> 22
運命志向 : 20 -> 19
成長促進 : 12 -> 15
共感性 : 5 -> 6
調和性 : 2 -> 3
包含 : 21 -> 25
個別化 : 1 -> 4
ポジティブ : 9 -> 17
親密性 : 28 -> 16
分析思考 : 10 -> 20
原点思考 : 18 -> 31
未来志向 : 33 -> 28
着想 : 22 -> 12
収集心 : 23 -> 5
内省 : 8 -> 7
学習欲 : 7 -> 2
戦略性 : 34 -> 34

結果を見て思ったこと

上位の5資質はそこまで変わっていない

ストレングス・ファインダーによると、上位5資質は資質として活用できる(逆に資質が裏目に出て苦しむ可能性もある)ということですが、順位に多少の変動はあれど、元々の上位5資質からはそこまで変化がないように感じました。

元々...個別化、調和性、達成欲、競争性、共感性

今回...達成欲、学習欲、調和性、個別化、収集心(共感性は6位、競争性は8位)

以前よりも学ぶことが好きになった

以前は、学ぶことは何かしらを達成する手段の一つであり、できればやりたくないものの一つでしたが、直近では学ぶことが純粋に好きだと言えるようになってきたのかなあと感じました。(学習欲と収集心が上位資質に食い込んでいる)

上位資質でない部分で順位が大きく変動している箇所について

上位資質以外で順位が変動している(11以上順位が変わっている)箇所について、なぜ変容したのかを考えてみました。

公平性 : 13 -> 27

元々、自分も含めた誰かしらの人が特別に扱われることに抵抗がありましたが、最近はそういった場面を見たときに、「それぞれが特別な存在であるんだから自然なことだ」と感じるようになりました。

チームでも、なるべく一人しかできないことを減らしたいという想いが以前は強かったですが、ここのところは、その人しかできないならその人に任せればいい(その人がいなくなることがわかったタイミングで誰かにできる限り引き継げばいい)と考えるようになっている気がします。

回復志向 : 16 -> 32

環境の変化が大きいのかな、と思います。
馴染みのない問題やこれまで考えたことのない課題に取り組みたい気持ちが、同じ部署に長らくいた以前はあったのですが、現在は日々経験したことがなくさっぱり分からないことだらけで、新たな問題にぶち当たることにネガティブな想いが強くなっているのかな、と感じます。

自我 : 24 -> 9

自我が強い人への憧れがあったり、コーチングなどを通して自分自身が成し遂げたいことが明確になりつつあること、仕事の持つ意味が以前と比較して大きくなっていることがあるのかなあと感じています。

親密性 : 28 -> 16

以前はどちらかというと一匹狼のような価値観で、自分自身で全てなんとかしようという気持ちが強かったのですが、コミュニティ活動を続けていたりして、困ったときに相談できる人や刺激になる人たちに恵まれて、強いつながりを持つことに意義を感じ出したのが大きいのかな、と思います。

原点思考 : 18 -> 31

これも環境変化が大きいのかな、と思います。
過去の経験を顧みて判断を下すことには一定の意義を感じていましたし、過去の経験に頼ることも同じ部署で長くやっていた以前はよくあったのですが、現在は過去の経験が生きる場面がほとんどなく、自身の過去をふりかえったり、経験を頼りにすることにあまり意義を感じなくなっています。

収集心 : 23 -> 5

前述したように、学習すること自体が好きになったことが大きいと思います。
何かしら新しい知見に触れたり、新しい物事を知る時間は、以前よりもはるかに自分にとって大きな意味を持てるようになっています。

全体を通した感想

自分の変化について考えるきっかけとして使うことができて面白かったです。

一方で、上位資質についてはあまり変化がなく、自分が何かしらの成果を出すには、このあたりの資質をどのように活用できるか考えていくのは今後の人生でも有用なんだろうなあと思いました。

*1:クリフトンストレングス・テストに現在は名称が変更されている模様です